研究課題/領域番号 |
20330027
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大西 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90254375)
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研究分担者 |
品田 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10226136)
曽我 謙悟 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (60261947)
浅羽 祐樹 山口県立大学, 国際文化学部, 講師 (70403912)
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任研究員 (40466066)
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キーワード | 政治学 / 比較政治 / 民主化 / 選挙政治 / 韓国 / フィリピン / 日本 / 選挙管理 |
研究概要 |
本研究は、韓国の選挙管理委員会が選挙政治に与えた影響を、比較を念頭に置いた上で分析的叙述(Analytic Narratives)の手法を取り入れて調査・分析する。すなわち、第1に、非選出機関と議会・市民の3者間関係が選挙法・政党法及び選挙監視活動に与える影響を明らかにし、第2に、民主政治の持続と選管の関係を検討する。平成20年度は、そのために、理論的には選挙管理の理論について、事例としては韓国の中央選挙管理委員会を中心に事例研究を行なった。はじめに、先行研究を収集し検討した上で8月に韓国に出張し、中央選挙管理委員会、韓国選挙研修院などを訪問して韓国における選挙管理の基本的情報を収集、聞き取り調査した。その結果、韓国においては選挙管理全般にわたって選挙管理委員会が大きな影響力を有していること、にもかかわらず選挙管理委員会が政治的に中立的であると見られていることを理解した。理論研究では、先行研究を収集・分析し、強力で中立的な選挙管理がいかなる場合に可能となるかをゲーム理論を使って提示した。パイロット調査では、政党法・政治資金法、選挙区区割り、選挙違反への判断について、盧武鉱政権下で行なわれた2004年国会議員総選挙を前後する政治過程を中心に調査した。その結果、政党法・政治資金法改正と選挙違反では選管が主導的役割を果たしていたのに対し、選挙区区割りでは、国会、憲法裁判所などの関係機関の諮問に応じる程度に止まっていたことが明らかになった。比較事例であるフィリピンと日本についても調査を行なった。調査の結果、フィリピンでは選挙管理委員会が弱く、韓国と対照的で、かつ選挙違反が多いこと、日本では弱いが選挙違反が比較的少なく、かつ選挙管理が民主政治の安定性と関連あると考えられていないことが分かった。
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