研究課題/領域番号 |
20330027
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大西 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90254375)
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研究分担者 |
品田 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10226136)
曽我 謙悟 神戸大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (60261947)
浅羽 祐樹 山口県立大学, 国際文化学部, 講師 (70403912)
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任研究員 (40466066)
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キーワード | 行政学 / 比較政治 / 選挙管理 / 韓国 / 日本 / フィリピン / 国際比較 / 民主化 |
研究概要 |
平成22年度は、事例研究の補充調査を行なうと同時に、研究をまとめた。事例調査の補充は以下の点である。主となる韓国調査については、浅羽が憲法制定過程における選挙管理委員会の位置づけと、1988年国会議員補欠選挙以降の政治過程について、磯崎が選挙監視、執行過程について、大西が選挙管理委員会の予算、人員、権限の変遷についてデータを収集し、経年的分析をおこなった。 日本とフィリピンの補充調査について、フィリピンは浅羽の研究と連携しながら、川中が1980年代後半の民主化時における憲法制定過程とその後の展開をフォロウアップ調査した。日本については品田が中心となって、都道府県および政令指定都市の選挙管理委員会の聞き取り調査をおこなった。以上の事例調査と連携しながら、曽我が中心となって選挙管理の国際比較をおこなった。研究成果は、2度の研究会を通じて知見をまとめた。最終報告書では、日本、韓国、フィリピンの選挙管理の違いと国際的な位置づけをおこなった上で、韓国選挙管理委員会の組織・権限の変化、立法過程への影響力、執行週程の特徴を説明し、韓国とフィリピンのパフォーマンスの違いの説明、選挙管理機関の国際的なバリエーションの要因を説明した。 本研究で、選挙管理は政治的な恣意が持ち込まれやすく、それだけに政治権力からの独立性が必要とされているが、管理のあり方は制度的に国毎にバリエーションが大きいこと、制度とパフォーマンスの間も対応関係があるわけではないこと、政治権力から独立的な韓国では、独立的であるだけに政治化しやすいことなどが明らかになった。全国一律で実施されているはずの日本においても選挙管理は地方自治体の性格が影響する。これらの発見は、日本における選挙管理に関する行政学的研究の嚆矢となるであろう。
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