研究課題
本研究は、いわゆる経済のグローバル化と呼ばれる状況が一層進んだ90年代以降において、国際関係における経済のグローバル化がどのように日本の対外経済政策に影響を与えているのかを体系的に明らかにすることを目的としている。本研究は、諸アクターの経済のグローバル化への反応から分析しようとするものであり、経済のグローバル化が諸集団(特に産業セクターにおける)に与える配分的影響を明らかにした上で、各産業セクター及び消費者団体、労働組合などの諸集団の対外経済政策についての選好を調査し、対外経済政策過程にどのような変容が生じているのかを明らかにする。今年度は、まず、本研究の仮説をこれまで調査した国際関係論における研究成果と日本研究における研究成果から構築することを行った。その際、国際経済の変化が各国に与えるマクロの構造、日本における政府と諸団体との関係、頂上団体と団体メンバー(産業団体であれば個々の企業)との関係、に焦点をあて、それぞれについて担当者が検討を行い、その成果を論文にまとめ刊行した。この調査の結果、いくつかの事例では、配分的影響が多様化しており、それにともない団体の構成メンバーの選好が多様化しているという現象が見られることがわかった。団体調査を行う準備として、産業団体、農業団体、労働組合の構成や役割の変化について、農業団体と主要な産業団体についての資料を調査した。選定した諸団体のWTOの自由化交渉、FTA交渉、為替レート政策、環境政策についての政策選好を明らかにするためのアンケート調査の設計を行った。これに基づき団体調査を行う予定であったが、総選挙後に政権交代が行われたため、政権交代という政治的変動が調査に与える影響を回避するため、2010年度に経費を繰越し、2010年度に団体調査を開始した。調査の結果の分析は、最終年度に行う。
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