研究課題
本研究は、ポスト「失われた10年」の日本経済を分析することを目的とする。本研究を開始した当初(平成20年度)は、長い低迷やデフレから抜け出しつつある兆候も示していた日本経済であったが、その後、リーマンショック、東日本大震災、ユーロ危機など、深刻な負のショックの発生によって、その回復は足止めとなっている.そこで、本研究計画もこの点も考慮に入れて軌道修正を行いつつ、日本経済が本格的に回復するにはどのような要因が重要なのかを、ミクロデータ(非上場企業を含む企業の個票データ)とマクロデータ(日次データなど頻度の高いデータ)の両面から検証を進めた。具体的には、本年度は、昨年度に引き続き、(1)なぜ「ゾンビ企業」が復活したのかの実証的考察、(2)なぜ財政赤字が拡大したのかの理論的・実証的考察、(3)非伝統的な金融政策がいかなる効果があったのかを理論的・実証的考察、をそれぞれ行い分析のまとめをすると同時に、新たに(4)リーマンショック以降の短期金融市場の流動性不足の影響、(5)世界同時不況など対外環境の変化が日本企業のパフォーマンスに与えた影響、をそれぞれ理論的・実証的分析し、最近のマクロ経済の動向に新たな知見を加えた。いずれの分析結果もその成果の一部は既に論文としてまとめられており、その一部は国際専門誌で公刊または公刊予定となるなど、おおむね順調に進展している。これまでの理論的・実証的分析によって、日本経済低迷の原因がある程度解明できたと同時に、今後日本経済が回復していくためにはどのような処方箋が必要であるかが部分的に解明されたと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
当初計画研究分野のほとんどで、分析結果の一部が既に論文としてまとめられており、なかには国際専門誌で公刊または公刊予定のものもある。当初の計画より銀行規制の分析がやや遅れているが、それ以外の分析は複数の論文が完成しており、おおむね順調に進展している。
本研究を開始した当初(平成20年度)は、長い低迷やデフレから抜け出しつつある兆候も示していた日本経済であったが、その後、リーマンショック、東日本大震災、ユーロ危機など、深刻な負のショックの発生によって、その回復は足止めとなっている。そこで、本研究計画もこの点も考慮に入れて軌道修正を行い、日本経済が本格的に回復するにはどのような要因が重要なのかを検証を進めている。
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Journal of Banking and Finance
巻: (印刷中)
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The Dynamics of Asian Financial Integration : Facts and Analytics(M.Devereux, P.R Lane, C.-Y.Park, S.-J.Wei eds.)
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