研究分担者 |
武藤 滋夫 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (50126330)
大和 毅彦 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (90246778)
瀋 俊毅 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (10432460)
神谷 和也 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50201439)
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研究概要 |
市場における効率的で公平な資源配分の達成可能性について理論と実験(アンケート含む)による分析を行った.まず純粋交換経済の研究では,3つの均衡(すべて効率的,1つが公平,残り2つが不公平)が存在するモデルを2種類構築した.実験は20人程度の被験者を募り,2種類の商品の持ち方に応じた得点表と2種類の商品に見立てたカードを配布して行った相対取引と,コンピューターネットワーク上でバーチャルな商品を売買するダブルオークションの二通りで行った.結果はほとんどの実験のデータが公平な均衡への収束を示した。このことから,他人の情報を与えないにも関わらず格差をなくす調整メカニズムが市場に自然発生する可能性を見出した. 一方,貨幣経済の実験では,貨幣と商品の持ち方に応じた得点表とを配布し,20人程度の被験者に2人ずつのペアを作らせ模擬の貨幣と商品を交換させた.その結果,ほぼ理論予測通りの貨幣経済が実現することがわかった. 寡占市場の研究では,二国の戦略的企業行動の理論研究を行った.具体的には,数量規制あるいは関税に関する各国の先見的な行動が国際貿易の均衡に及ぼす影響の考察を行い,その結果として均衡の動学的安定性について新たな知見が得られ,必ずしも公平ではない均衡が達成されることが示された. 環境問題の研究では,中国において上海を含む長江デルタ地域に立地する製造業の企業を対象としたアンケート調査を行なった.その結果,外資資本がある企業ほど,および市場競争が厳しいほど,それらの企業が製品のエコラベルを認証するインセンティブが高くなり,総合的に高い経済効率性を達成することがわかった.また,製品のオリエンテーションや規模,上場企業であるか否かなど要因も企業の製品のエコラベル認証行動に影響を及ぼすこともデータにより明らかになった.
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