研究課題/領域番号 |
20330043
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
江口 匡太 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50302675)
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研究分担者 |
今井 亮一 九州大学, 留学生センター, 准教授 (10298507)
竹内 寿 (奥野 寿) 立教大学, 法学部, 准教授 (10313058)
内藤 久裕 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00335390)
原 昌登 成蹊大学, 法学部, 准教授 (80312536)
平澤 純子 川口短期大学, ビジネス実務学科, 准教授 (50517224)
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キーワード | 解雇法制 / 解雇権濫用法理 / サーチ理論 / 不完備契約 |
研究概要 |
本研究は、解雇法制の実態を解明し、解雇法制が与える雇用形態、雇用法制への影響を分析し、ひいては経済に与える効果を推計し、望ましい雇用制度の姿を考えることを目的としていた。 今年度の成果の一つは、良好な労使関係を形成するために解雇規制が必要となるのかどうかについて、関係的契約理論の枠組みをもとに分析した論文をまとめたことである。この論文は北京の精華大学で行われた第16回のInternational Economic Associationで発表されたが、内容の概略は以下の通りである。良好な労使関係が構築されていれば、解雇規制をはじめとした様々な規制の必要性が小さくなることが主張されることが多かったが、この研究成果によると、良好な労使関係の構築にはむしろ解雇規制がプラスの効果をもたらすことが示されている。ただ、解雇規制があまりにも強くなると、今度はマイナスの効果が強く表れることもわかった。その結果、良好な労使関係を維持するには、最適な解雇規制の水準があることが示されたと言える。そのため、単純に雇用を保護すればよいとか、反対にすべて撤廃した方が良いといった両極端な主張の有効性は低く、最適な水準を探す地道な作業と慎重な議論が必要とされる。 この他にも、継続されていたサーチモデルを用いた解雇規制の影響に関するシミュレーションも、より現実的な確率分布を想定して改善し、精度の向上を図ることができた。 さらには、サーチ理論をより発展させる論文、高齢者の雇用継続に関する論文、労働争議に関する社会学的研究成果が発表され、雇用に関する幅広い研究成果を出すことができた。
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