わが国の解雇法制は解雇権濫用法理と呼ばれる判例法理が中心となっている。本研究は、この解雇法制の実態を解明し、解雇法制が与える雇用形態、雇用法制への影響を分析し、ひいては経済に与える効果を推計し、望ましい解雇法制、雇用法制の姿を考えることを目的とする。解雇法制の重要性は、その経済に与える影響はもちろん、労働者の技能形成の方法や技能の種類、仕事の評価方法、非正規労働者の待遇など、雇用関係の在り方を規定するところにある。一方で、市場経済における環境の変化は、判例法理の傾向を変化させる可能性があり、解雇法制や雇用法制に影響を与える。このような市場経済と法制度のインタラクティブな関係のもとで、望ましい法制度の在り方と政府の役割を分析する。
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