研究課題/領域番号 |
20330045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 孝明 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (30262091)
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研究分担者 |
田渕 隆俊 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70133014)
河端 瑞貴 東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (60375425)
金本 良嗣 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00134198)
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キーワード | 新経済地理学 / 都市・地域政策 / 輸送費 / 高齢者 / 産業構造 |
研究概要 |
本年度は、新経済地理学の理論的研究と都市・地域をめぐる経済的諸問題の研究の両方を実施した。 新経済地理学の理論に関しては、次の点で精緻化を行った。第一に、輸送費が輸送の方向によって異なる可能性を考慮に入れると、企業の立地パターンがどのように変化するか、厳密な理論モデルを用いて分析した。第二に、各商業中心地でどのような財のバラエティが販売されているか、消費者が正確に知らないために商業活動が集積する可能性について理論的に検討した。これは、都市内における商業活動の立地を左右する要因であると思われる。第三に、産業構造と経済地理の間の相互依存関係を明らかにした。具体的には、交易の自由度が増大したときに、産業構造がどのように変化するかを見るため、起業家の行動と、企業の誕生・消滅プロセスを厳密な理論モデルで定式化した。その結果、起業と交易の自由度との間には、非単調な関係があることがわかった。合わせて、現実の都道府県のデータを用いて、市場の大きさが起業にどのような影響を及ぼしているかを調べた。また、企業が複数の生産物を生産することを考慮に入れると、空間的競争の結果がどのように変化するか、分析した。 一方、都市・地域をめぐる経済的諸問題については、とくに少子高齢化に伴う問題を取り上げた。第一に、高齢者の都市内立地と都市内移動の実態とその問題点を探った。それらは郊外都市と大都市で大きな違いがあることがわかった。また、問題を解決するためにどのような政策が有効か、検討した。第二に、少子化にもかかわらず喫緊の問題となっている都市部における保育所の不足について、その実態を明らかにした。その結果、保育所が絶対的に不足しているという問題もさることながら、保育所サービスの需要と供給が空間的に一致していないということ(空間的ミスマッチ)が問題を深刻にしていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
雑誌論文・学会発表を中心とする研究発表の件数が多い。とくに、雑誌論文については、一流の国際誌に掲載された(される)査読付論文が9編を数えるが、社会科学系の分野においてはかなり多いと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、本研究においては、共通の研究課題のもと、各研究者がそれぞれの関心のあるテーマについて比較的自由に研究を行ってきたが、今後はそれらを統合する必要がある。これについては、次年度、試みる予定である。
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