本研究は、経済の規模が縮小する時代に固有の都市・地域経済問題を考え、それらの問題の解決に資するような政策的インプリケーションを、新経済地理学の枠組みから導き出すことを目的とする。具体的にどのような問題を扱うかは研究を進めながら検討する。たとえば以下のような問題が考えられる。 (1)都市内空間構造の再編 経済の規模縮小時代においては、規模拡大の時代と異なる都市構造が求められる。本研究では、経済学の観点から、規模縮小時代におけるあるべき都市内空間構造を探究する。 (2)輸送を担うインフラストラクチャー投資の諸問題 輸送インフラストラクチャーは、経済活動の立地に影響を及ぼす。したがって、国際輸送についても、国内輸送についても、それをどう整備していくかはひじょうに重要な問題である。新経済地理学の分析枠組みを用いて望ましい投資のありかたを分析し、政策的含意を導く。 (3)都市部と地方の財政上の不均衡の問題 新経済地理学は、経済活動の集積に伴う利益と不利益を考え、それらがちょうどバランスするような、最適な集積の水準に着目する。都市部と地方の財政上の不均衡を考える際には、この最適水準を規準にする必要がある。
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