研究課題/領域番号 |
20330046
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
若杉 隆平 京都大学, 経済研究所, 教授 (80191716)
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研究分担者 |
秋山 太郎 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40167854)
冨浦 英一 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40273065)
椋 寛 学習院大学, 経済学部, 准教授 (90365065)
古川 雄 中京大学, 経済学部, 准教授 (50510848)
伊藤 萬里 専修大学, 経済学部, 講師 (40424212)
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キーワード | Offshoring / グローバルR&D / 生産性 / 現地生産 / 技術革新 / arm's length / intra-firm / スキル・プレミアム |
研究概要 |
理論分析においては、(1)ベンチャー企業と既存企業の2タイプによってイノベーションが行われる動学的一般均衡モデルを構築し、オープンイノベーションとクローズドイノベーションについて分析を行った。ベンチャー企業の交渉力が大きいほどオープンイノベーションが盛んであること、ベンチャー企業の交渉力と経済全体のイノベーションとの間には逆U字形の関係があり、経済成長率が最大となるベンチャー企業の交渉力水準が存在することを示した。(2)企業異質性と産業特性が、研究開発におけるoffshoringに与える影響を分析するための理論モデルを構築し、分析結果から、生産性が低い企業が立地する地域の労働市場規模が拡大することによって、研究開発のoffshoringが活性化することを示した。(3)企業特性がイノベーションに与える影響を特恵貿易協定の締結との関わりに注目して理論分析を行い、特恵貿易協定のタイプによって新技術採用を通じたイノベーションに与える影響が異なるという結果を示した。実証分析においては、日本企業に関するミクロ・データを用いて、(1)アウトーシングによって企業の生産性、資本・労働比率等がどう異なるか実証研究を行った。特に生産性については、産業特性や企業異質性をパネル回帰の形式でコントールしても、アウトソーシング企業の方が統計的に有意に高水準であることを確認した。(2)企業の輸出・直接投資には、生産性に加えて賃金、固定費用などの市場要因が影響を与えること、企業のオフショアリングによる生産工程分業が生産性を高めることを確認した。(3)海外アウトソーシングの業務別仕向地別に生産性に与える効果が異なるか否かについて実証分析を行い、製造とサービス業務の両者のアウトソーシングに取り組むほど、また、複数の仕向地に対してアウトソーシングする企業ほど生産性を高める効果が大きいことを明らかにした。また、ベトナムにオフショアする日本企業に関する現地調査により企業行動を分析した。研究の過程で国内コンファレンスを開催し、研究の進捗をレビューするとともに、成果の一部を国際学会報告、国際学術誌への掲載,図書の刊行により公表した。
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