研究課題/領域番号 |
20330050
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
眞弓 浩三 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (40253182)
|
研究分担者 |
谷川 寛樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90304188)
馬奈木 俊介 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (70372456)
佐々木 稔 茨城大学, 工学部, 講師 (60344834)
|
キーワード | バイオ燃料 / 環境経済学 / GIS / エネルギー / 社会メタボリズム |
研究概要 |
生態系や社会経済システムに地球温暖化現象が与える影響が近未来に深刻化する.との危惧から、石油や天然ガスに代替可能なエネルギー源の探求が国際的にも急務になりつつあり、代替可能なエネルギー源のひとつとしてバイオ燃料が注目を集めつつある。Giampietroと眞弓(環境経済学とエネルギー分析専攻)はZipfやLotkaならびにGeorgescu-Roegenの先駆的な考察に加えて、最近発展してきた理論生態学におけるる階層理論(Hierarchy Theory)を取り入れた「社会生態系メタボリズムの多階層総合評価モデル」(Multi-Scale Integrated Analysis of Societal and Ecosystem Metabolism (MuSIASEM))を構築し、持続性の諸問題に適用してきた。 平成23年度では、中国と日本の各産業で利用しているエネルギーをとうもろこしからエタノールを生産した場合に土地と労働がどの程度必要かを概算した。産業の分類ではデータ収集の制約があり、日本と中国では異なる産業分類を利用した。いずれの国においてもエタノールによる代替可能量は実質的には取るに足らぬ量である。10%を代替する場合においても、労働力の必要量は他の産業分野で必要な労働力をすべて吸収するぐらいになり、エタノールを石油の代替エネルギーにする等というのは夢物語にすぎない。また、石油などのいわゆるストックタイプのエネルギー源と異なり、太陽エネルギーというファンドタイプのエネルギーを利用してバイオマスを生産し、それをエタノールに変換する迂回生産のために必要となる土地の量はとてつもなく広大で、例えば、日本の製造部門のエネルギーを10%代替する場合に必要な土地は、日本の総面積の100倍以上の土地を必要とする。食糧生産に利用可能な土地やその他の土地利用を極端に制約することになる。いずれにしても、食物として利用できる作物からエタノールを生産し、石油の代替にすることは現実的に全く不可能である。詳紳は成果報告書を参騨していただきたい。
|