研究課題
共同研究を推進し、あわせて、新たな研究手法に関する知見の獲得のために、研究会を合計7回(各回では2つの研究報告を行う)開催した。そこでは、道州制を導入した場合に実現できる行政活動効率化の程度を測定する方法や、地域計画を決定するための空間を意識した計量経済学的手法といった、都市問題や地域経済問題に直接関連する研究成果、近年研究が進展しつつあるミクロ計量分析の手法の開発とその応用方法に関する研究成果、あるいは、産業組織論を用いた組織やネットワーク・フォーメーションに関する研究成果、といったものが紹介され、活発な討論が行われた。個別の研究成果としては、近年注目を集めている高速道路料金制度の分析が城所によって行われた。そこでは、費用便益分析の観点に立ち、交通ネットワークを明示的に考慮して、高速道路料金の割引政策を理論的に分析した。主要な結論は、高速道路料金を値下げすべきかどうかを経済学的に議論する際は、交通ネットワーク内で発生する負の社会的余剰を考慮する必要があるというものである。例えば、高速道路と代替的な鉄道がある場合に、高速道路の料金引き下げがもたらす便益を計算するには、鉄道が被る利潤の減少を含めければならないという問題点が挙げられる。この成果は、まさに今われわれが直面している現実の政策に対して、重要かつ直接的な示唆を与えている。同様に、ネットワークにおける混雑を考察したものとして、田中による研究がある。そこでは、クールノー競争を行う企業が地域間で競争を行っている場合には、地域間ネットワークの混雑を意図的に引き起こし、それによって地域内の競争の程度を低めるという問題について検討し、その程度を分析している。
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