研究課題
この研究では、日本企業約100万社が、特許共同出願、株所有、取引、役員兼任、などの関係でつながったネットワークを解析する。まず始めに、関係の強さを考慮しない場合について各種ネットワーク指標を計算し、ネットワークが持つトポロジーの性質を明らかにする。そしてこれらの指標が、経済政策の立案にどのように資することができるのか検討する。また、次のステップとして、企業間のつながりの強さを定義し、重み付けられた多重ネットワークとして解析を行う。特に、複数の企業がつながり合って塊(クラスター)を作った場合に、その塊の価値を計算する理論モデルを構築する。さらに、付加価値の高いクラスターにはどのような特性があるか解析し、高付加価値クラスターの生成を促進するための経済政策について検討を行う。計画の2年目にあたる今年度はまず、データを新しく購入し、これまでのデータに組み入れる作業を行った。今年度の多くの成果のうち特筆されるのは産業連関に関する新たな知見が得られたことにある。1つはランダム行列理論を用いたものであり、産業間の取引額においてノイズを取り除いた本質的な構造を明らかにした。また、大きな外的要因(リーマンショック)などにおいても、この本質的構造は変化しないことが明らかになった。もう1つは産業連関表を従来の取引額ではなく取引件数に基づいて作成しなおすことにより、知的財産の波及は後者の取引件数とより相関が強いことが分かった。さらに詳しく調べた結果、取引と知的財産の関係性の構造(ネットワークの構造)は産業によって特徴的であることが分かった。
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Informetrics 4
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ビジネス&アカウンティングレビュー 5
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