研究概要 |
雑誌論文:倒産法制改革の銀行への影響について 本研究においては、「制度改革に関する総合的なインパクトを検討する」という研究目的に基づき、日本の倒産法制改革が与えた影響について、研究実施計画に沿った形で分析を行い、一定の成果を得た。具体的には、日本の倒産法制改革が、銀行行動に対してどのような影響を与えたのかを理論的に分析した上で、実証的な検証を行った。まず、2000年4月の民事再生法施行に始まる日本での一連の倒産法制改革の内容についてまとめた。2000年以降、日本での倒産法制度はかなりの改革が行われ、その主目的は早期事業再生を促すことであったと一般的に言われている。しかし、これらの法制度改革が実際にどのような影響をもたらしたのか、特に事業再生のメインプレーヤーである銀行に対してどのような影響をもたらしたのかについては、十分な結果が得られているとはいえない。そこで、倒産法制度の改革が、銀行に及ぼしうる影響について、経済理論に基づいて整理し、分析を行った。さらに,その理論的整理の内容を検証するため、実証分析を行った。具体的には、法的手続き申請のタイミングで、メインバンクの株価がどのような変化を示したのかについて、着目をし、イベント・スタディを行った。その結果、DIP制を認めるなど債務者側に有利な法制度を用意することによって、早期の倒産処理手続きが促され、その効率性改善の効果がメインバンクに及んでいる可能性があることが確認された。 学会発表においては、主に理論的検討の結果を報告した。コーポレートガバナンス面での制度改革が貿易構造や企業の投資行動に大きな影響を与えうること、また競争政策の影響も制度改革の総合的影響をみるうえで欠かせないことを導出し、報告した。
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