研究概要 |
まず、金融に関連する制度改革の一つとして,倒産処理法制の改革の影響に関する実証分析を引き続き実施した。具体的には,倒産処理法制の改革が、どのような形で企業のインセンティブに影響を与えるかを検討し、金融制度改革がどのような意味で重要かを確認した。特に、一連の精度改革によって、早期の企業再建着手が促進された可能性が高いことが明らかになったことから、企業行動の早期の変革を促すうえで制度側の処理迅速性が重要なポイントになることが成果として得られた。 次に、金融制度改革がコーポレート・ガバナンスに与える影響および、マクロ経済や資産市場に与える影響についても、大きな研究成果が得られた。特に資産バブルの発生が金融制度がどの程度適切に機能しているかの程度と大きく関係していることが明らかになった。さらに、資産バブルの存在がどのようにマクロ経済に影響するかについても、金融制度にかなり影響されることが明らかになり、制度改革が実態経済にどのようなルートを通じて影響を与えるかという大きな問題に対して意義のある成果が得られた。また、この点は、日本経済の実態のみならず、アメリカの金融危機や欧州の経済危機の実態を理解する上でも重要である。なぜならば、アメリカの金融危機についても欧州の経済危機においても、資産価格の変動が大きなポイントとなっており、この点からも、本研究で得られた成果は、より普遍的な意味でも重要な研究成果となっている。
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