研究課題/領域番号 |
20330071
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野塚 知二 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40194609)
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研究分担者 |
市原 博 駿河台大学, 経済学部, 教授 (30168322)
清水 克洋 中央大学, 商学部, 教授 (40178968)
関口 定一 中央大学, 商学部, 教授 (20138613)
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キーワード | 労務管理 / 職業世界 / 産業社会 / 雇用慣行 / 公共性 / 管理革新 / 入職過程 / 徒弟制度 |
研究概要 |
本研究は、近現代社会において労務管理が生成し成立してきた条件を明らかにすることを目的とし、平成20年度には以下の作業をおこなった。まず第一に、研究代表者、研究分担者、連携研究者の各人が担当事例に即して労務管理現象に関係する諸要素を可能な限り洗い出した。その結果、入職過程における資格付与と能力形成、技術者の出自と学校文化、徒弟制度における質・量両面での労働力調達に対する制約、長期雇用慣行下の技能形成と処遇管理、企業内身分の決定要因としての勤続年数、生活管理と退職後の生活設計、職業教育の職業内的および職業外的な意義付けなどの諸要素が析出され、他の要素との相互関係について考察した。この面での成果は、各人が個別に発表しているが、洗い出された各要素がいかなる意味で労務管理現象に関係するのかを説明するための共通言語を設定し、実際に説明する作業は、以下の第二の作業も踏まえなければならず、今後の課題として残されている。ただし、すでに市原、榎、禹、清水を中心として、企業の労務管理を通じて擬似的な「公共性」が形成された事例について政治経済学・経済史学会2008年秋季学術大会の共通論題で発表し、また、小野塚、関口、榎を中心として職長や技術者に注目して世紀転換期の管理革新事例を比較するための共通言語設定の試みに乗り出しており、その中間的な成果は社会政策学会第118回大会(2009年5月)で発表される。本研究の平成20年度の第二の作業として、上述の諸要素の一覧表と相関図を作成する作業に着手したが、以下の理由から、これは平成21年度にも継続される。すなわち、当事者にとってあまりにも当然のことは通常は明瞭な言葉で語られないが、歴史家が過去の労務管理現象を再構成する際には、語られなかった実践にも概念を与えなければならず、この点で、上奇の作業はまだ完結していないからである。第三に、関連分野の研究者との交流を進め、本研究の方法的妥当性のチェックを行った。殊に、石塚史樹(西南学院大学)、谷口明丈(東北大学・当時)、竹内敬子(成蹊大学)の諸氏には多くの教示を得た、記して謝意を表する。
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