研究課題/領域番号 |
20330073
|
研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
櫻木 晋一 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00259681)
|
研究分担者 |
大内 俊二 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00213629)
藤田 晴啓 東洋大学, 国際地域学部, 教授 (40366513)
加藤 慶一郎 流通科学大学, 商学部, 教授 (60267862)
島田 竜登 西南学院大学, 経済学部, 准教授 (80435106)
西本 右子 神奈川大学, 理学部, 准教授 (70241114)
|
キーワード | 寛永通寳 / 貨幣考古学 / 海域アジア / 金属組成 / データベース / 復元実験 |
研究概要 |
考古資料の調査として、福岡市埋蔵文化財センターで博多遺跡群出土銭貨の実見と、個別出土銭データベース化の作業を継続して行った。宮崎県総合博物館が所蔵している五ヶ瀬町坂本城出土一括銭の分類・整理作業を行い、これに琉球銭や無文銭を含むことから、中世末に埋められたものであると判明した。また、下関市立長府博物館が所蔵している古銭と藩札の分類・整理作業も開始した。ケンブリッジ大学フィッツウイリアム博物館が新規所蔵した日本貨幣についても、鑑定を行った。これは海外に散逸している日本銭貨データベース化作業の一環である。この中には、天保通寳の母銭など数種の希少資料も含まれており、個別貨幣のデータベース作成が本研究の基盤となる。 銭貨生産の実態を理解するため、10月23日に寛永通寳の復元実験を行った。金工職人の指導のもとで2基の溶解炉を作り、異なった金属組成で9種類の銭貨を製作した。初期の寛永通寳には砒素が多く含まれるなど、これまでに蓄積した組成分析の測定データから9種類のグループ作り、一つの鋳型から5枚の枝銭ができるようにして、それぞれの発色や鋳上がりの違いを確認した。 10月24日にパリからフランス人研究者フランソワ・ティエリー氏を招聘し、国際シンポジウムを下関市立大学で開催した。氏は「フランス国立図書館所蔵の寛永通寳の整理・同定の難しさ」と題した報告を行い、外国人研究者にとって日本貨幣の取り扱いは難しいことが明らかになった。寛永通寳緡銭の最新出土事例報告や、寛永通寳を鋳造していた京都と銭屋遺跡の報告も行い、近世貨幣生産と使用事例について確認した。 大英博物館所蔵日本貨幣カタログが完成した。これには日本貨幣略史を英文で収録しており、外国人の日本貨幣史に関する理解が進むものと思われ、啓蒙的役割を果たすことができたと考えている。
|