研究概要 |
本研究は,以下の5点に示されるように完成をみた。 (1)事例のドラフトの完成を目指して,各種2次データと聴取調査の結果とを突き合わせ,被調査者の記憶違いや誤解等がないかを確認し,事実に忠実な記述となるようにした。 (2)事例の分析結果にもとづいて,戦略的協働の特徴に関する次の18命題を提示した。 【命題1】協働には,継続的な参加者と一時的な参加者が混在する。【命題2】協働の捉え方は参加者によって異なる。【命題3】参加者間には資源の相互補完性がある。【命題4】協働アクティビストが,複数の重層的に連結された場を設定・活用する場合,協働の実現可能性が高まる。【命題5】協働アクティビストは,協働の契機となる問題を認識・定義する。【命題6】協働アクティビストは,具体的問題を含むアジェンダを設定する。【命題7】協働アクティビストが,アジェンダを参加者に認識させる場合,協働の実現可能性が高まる。【命題8】参加者の信念や思いを具現する解決策が生成・特定化される場合,協働の実現可能性が高まる。【命題9】[1]技術的実行可能性が高く,[2]コストが許容範囲内に収まり,[3]一般市民の黙認が得られる解決策が生成・特定化される場合,協働の実現可能性が高まる。【命題10】協働アクティビストが,解決策を洗練する場合,協働の実現可能性が高まる。【命題11】協働への社会的注目度が大きくなる場合,組織のやる気が高まる。【命題12】協働の危機を乗り越えようとする場合,組織のやる気が高まる。【命題13】新たなプログラムを開始しようとする場合,組織のやる気が高まる。【命題14】協働アクティビストが,協働を意図した活動と,協働を必ずしも意図しない偶然生じた活動とを1つに結び付ける場合,協働の実現可能性が高まる。【命題15】協働の進展とともに,ガバナンスが形成される。【命題16】3種類の協働の窓が,ほぼ同時に開く場合,協働の実現可能性が高まる。【命題17】協働アクティビストが,アジェンダ,諸解決策,組織のやる気状況,活動状況の完全なパッケージを構成する場合,協働が実現される。【命題18】協働の先例は,同一の領域内および他の領域に波及する。 (3)本研究の問い,協働の窓モデルの特徴,提示された命題の相互関係について説明した。 (4)本研究の貢献を示すとともに,今後の研究に向けた課題を提示した。 (5)本研究の成果をまとめた最終報告書を作成した。
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