研究概要 |
研究の概要;本研究は、科学型イノベーションに関与する一連の組織がどのような研究能力を持ち,どのように連携を進めることによって知識を生成・移転しイノベーションを促進しているか,実証研究し、企業のイノベーション戦略への含意を明らかにする。平成20年度は、アドバンスト・マテリアル分野(光触媒)を対象として、卓越した研究業績に加え高いコンサルティング能力を持つ大学・公的研究組織の学者を、その特許出願実績の高さ、加えて、科学論文出版実績の高さに注目して「パスッール型科学者」と定義し、企業が同タイプの科学者と連携すると、イノベーションのための知識移転が促進され、企業のR&D活動が高度化されることを明らかにした。同研究は、従来から研究を進めてきたケース・スタディーから得られた仮説を、計量書誌学に基づいて抽出した論文・特許データを利用してモデル推定しており、同研究の方法論は国際的に高い水準を示している。研究成果はイノベーション研究において権威をもつResearch Policy 誌において発表され、DRUID2008(デンマーク)、Strategic Management Society 2008年年次総会(ドイッ)において発表された「パスッール型科学者」という新コンセプトは、バイオ分野における「スター科学者」との比較から、高い評価を獲得しており、同概念の一般性に関して議論が継続されることが期待される。加えて、日米比較を視野に入れて、バイオ分野における、研究者間の知識の生成・移転に関し質問票調査を実施しており、21年度においてはその分析を予定する。
|