本研究の目的は、急拡大するコールセンターにおける雇用と人材育成の実態を、国際比較の観点から、従業員に対するアンケート調査等を用いて解明し、人事管理施策改善の方途を探ることである。本年度は、事業所を通ずる従業員アンケート調査を実施するとともに、対象事業所についての面接調査を実施した。アンケート調査では、従業員の属性、職業経歴、担当業務の内容、教育訓練の内容・程度、処遇、仕事上・生活上の不満や希望などについての約60の質問をしている。この調査によって、どのようなコールセンター、どのような人事管理施策が従業員の定着を促進し、あるいは離職を促すか、コールセンター従業員がどのようなキャリア展望をもち、それを可能にする業務経験や技能形成に成功しているか、どのような雇用政策がコールセンター従業員の勤務条件を改善し、キャリア展望を拓くことに役立ちうるかを探ろうとするものである。平成21年度においては、4センターから555票を回収し、うち2センター436票分については原票チェックの上、入力と基本集計済みである。本格的な分析は平成22年度の課題となるが、多数の非正規社員が働くコールセンターのオペレーターに若年から高齢者まで、多様な人々が働いている実態が明らかになり、彼らがどのような問題を抱えているかを追究している。 また、国際比較の観点からの分析を進めるために、代表者がフランス訪問し、研究打ち合わせを実施し、また、日本を訪問したフランス・チームメンバーからフランス調査の中間的結果(回収314サンプル)について報告を受け、討議した。
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