研究概要 |
日本企業のコーポレートR&Dのパフォーマンスはどうすれば向上するのだろうかというテーマについて,今回の研究では,概念や理論の生成を目的として,フィールドワークをベースとした質的研究を実施した。その結果,過去の共同研究など外部のプレイヤーとの協働経験によって蓄積された,事業エコシステムの知識が,その後の研究構想の形成において重要な役割を果たしていること,企業のコーポレートR&Dにおける他企業や大学との共同研究における研究成果は,コミュニケーションや学習意欲などのような過去に指摘されていた要因よりは,むしろアジェンダ設定のジレンマ問題によって左右されること,および企業内研究の新しい技術の構想形成において,既存技術の担い手が,新しい文脈の中で絶えず自分の知識の価値を反省的に位置付け直していることを示した。
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