研究概要 |
本研究では,安全・安心面での自治体の評価について,その指標を策定し,その結果と電子自治体の評価などから推定される自治体におけるICTの活用との関係を分析することを目的としている.平成21年度研究計画では,(1)地域(都市)の安全性の要因及び関連施策の調査(2)安全・安心の自治体ランキングのプロトタイプ試作(3)安全・安心分野のICT利用について国内外の事例調査に取り組んだ.(1)では,平成20年度に実施した「行政サービスの情報化に関する住民アンケート調査」により得られた関西8自治体の住民(3000名)の回答データをもとに多変量解析を行い,住民が描く安全・安心な地域社会イメージの抽出及びそれの構成要素となる自治体の関連施策を明らかにした.また,地域の安全性に対する住民の評価には,交通事故や災害など当該地域における発生リスクの実態(実数)より,地域の住み心地やにぎわい(活性化)状況といった住民の日常的な生活経験・感情が強く影響を与えていることが確認された.この結果もふまえ,(2)では,安全・安心面からの自治体評価における重要指標として「地域の活性化」をあげ,その発展モデル化を試作した.また全国自治体に対して電子アンケート調査を実施し,各自治体の発展段階について分析・検討を進めた.(3)では,監視カメラ導入先進国である英国の自治体及び警察機関,民間セキュリティ会社を訪問調査し,現状について把握し,日本の自治体における防犯設備導入にともなう課題を整理した.
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