研究概要 |
本研究は,技術受容モデルを応用し,ネットワーク外部性を有する新製品の普及に関する概念モデルの構築と実証研究を行なうものである。3年目である2010年度は,2年間で行ってきた研究成果をいったんとりまとめ、成果発表を行うことに注力するとともに、次の研究課題を明らかにした。 まず、2010年9月にKorean Academy of Marketing Science (KAMS) 2010 Global Marketing Conferenceで伝統的なクチコミとネット上のクチコミが新製品の利用にどのような異なる影響を与えるかを分析した論文を発表した。この論文は、その後Journal of Product Innovation ManagementのKAMS特集号掲載のための第一次審査を通過し、現在、修正および再投稿の準備中である。 また同年11月には、The 8th SARD (Society of Asian Retailing and Distribution) Workshopにおいて、電子書籍の普及に関する日米比較を行った研究を発表した。この論文は、2011年度『マーケティング・ジャーナル』特集号への投稿・掲載が決定しており、現在、加筆・修正中である。 さらに2011年2月には、アメリカ合衆国テキサス州オースティンで行われたマーケティング学会の世界最高峰American Marketing Association (AMA)において、クチコミが技術受容モデルとどう関わるかを分析した論文を発表した。この論文はレビュアーのコメントを基に修正し、2011年6月にオランダで行われるInternational Product Innovation Managementの年次大会で、欧州向けに再度、報告する予定である。 以上のような成果発表に加え、2010年3月には第3回目の時系列調査を実施し,前年と同様、スマートフォン,ブルーレイDVD、電子書籍リーダーに関する消費者データを収集した。この1年間でスマートフォンは爆発的に普及し、ブルーレイDVDは地上デジタル放送への切り替え需要があり、また電子書籍リーダーはiPadの発売等、昨年から注目していた製品は、いずれも興味深い現象の発生前後でのデータを得ることができた。これらのデータは、2011年度に詳細に分析し、さらに成果発表を続ける予定である。
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