研究課題/領域番号 |
20330098
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
内藤 文雄 甲南大学, 経営学部, 教授 (80188862)
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研究分担者 |
黒川 行治 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (10129421)
柴 健次 関西大学, 大学院・会計研究科, 教授 (40154231)
林 隆敏 関西学院大学, 商学部, 教授 (50268512)
浅野 敬志 首都大学東京, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (30329833)
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キーワード | 利益情報 / 企業内容開示制度 / 監査・保証業務 / XBRL |
研究概要 |
本研究は、企業内容開示制度における利益情報の開示および監査・保証業務のあり方について、主要な利害関係者への意識調査にもとづき利益情報の変容の事実の実証および要因の分析を実施し、当該制度の改革、財務諸表監査における情報の信頼性の保証方法および保証結果の伝達に関する提言を行うことを目的としている。 本年度は、利益情報の変容を具体的に裏づける事実ないし要因に関する実証的な証拠を入手することを目標として、公認会計士および監査事務所325件に対する質問票調査と公認会計士一般に対するWEB回答による調査、ならびに上場会社3,794社に対する2回目の質問票調査を行った。前者の質問項目は、資本調達と財務諸表の質、会計基準の弾力性、算定・開示すべき利益、会計上の見積り、会計基準のグローバル化とその将来、利益情報の変容と監査、情報の信頼性の保証、利益情報の性格と監査、利益調整と粉飾決算、監査の対応、監査を取り巻く環境、グローバル化と会計の役割、利益情報の変容と事業戦略である。また、後者について、「利益情報の変容には経済社会のグローバリゼーションが多面的に関係しているのではないか」との体系仮説、すなわち、1980年代中頃以降顕著となった経済社会のグローバリゼーションによって経済環境・事業環境にはいかなる変化が生じたと意識されているか、経済環境・事業環境の変化は事業戦略の変化をもたらしたと同時に会計の役割や会計に対する期待にも変化をもたらしたのか、また、利益情報の変容が経済環境、事業環境と事業戦略に影響するのではないかという仮説を検証した。その結果、利益情報の変容が現実の問題として生じており、かかる利益情報の適正表示に関する監査におけるさまざまな問題点を浮き彫りにするとともに、利益情報の変容には経済社会のグローバリゼーションが多面的に関係していることを裏付ける有力な調査結果を入手した。
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