研究課題/領域番号 |
20330098
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
内藤 文雄 甲南大学, 経営学部, 教授 (80188862)
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研究分担者 |
黒川 行治 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (10129421)
柴 健次 関西大学, 大学院・会計研究科, 教授 (40154231)
林 隆敏 関西学院大学, 商学部, 教授 (50268512)
浅野 敬志 首都大学東京, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (30329833)
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キーワード | 利益情報 / ディスクロージャー制度 / 財務諸表監査 / 保証業務 / XBRL / 経営者の会計選択 |
研究概要 |
本年度は、過年度に実施した3回の日本におけるアンケート調査と1回のドイツにおけるアンケート調査およびインタビュー調査に加えて、2010年7月に、財務情報利用者サイド(アナリスト)を対象に「利益情報の変容と資本市場及び事業環境に関する意識調査」を実施し、また、かかる調査に関係してインタビュー調査を実施した。 これらのアンケート調査およびインタビュー調査の回答が本研究の中核となるデータを構成している。最終年度では、これらのデータから、次の2つの研究主題を区別して、研究成果を取りまとめた。第1の主題は、利益情報の変容の具体的特徴とそれを必然ならしめた合理的な理由の解明である。利益情報の変容の具体的特徴を、「会計の役割や会計に対する期待の変化」に関する意識を調査し、また、利益情報の変容が、経済社会のグローバリゼーションに対する会計社会の対応であったのではないかとの問題意識から、経済環境・事業環境、事業戦略のそれぞれの具体的変化を明らかにして、それとの関係によって、利益情報の変容を読み解こうとした。第2の主題は、利益情報の変容によって監査・保証業務のあり方がどのように変化しているのかについてであり、見積もり項目の増加による「利益数値の弾力性」、「虚偽表示の可能性」、「原則主義」、「監査の信頼性」などをキーワードとして、変容の内実を明らかにした。また、IFRSsをいち早く導入しているドイツの企業に対するアンケート結果と我が国のそれとの比較によって得られるIFRSsの問題点の指摘、公認会計士に対する意識調査によって、利益情報変容による監査・保証業務を行ううえでの影響とそれへの対処等を考察した。 以上の研究成果を冊子体による報告書にまとめ、600部を日本会計研究学会会員およびわが国の会計関連団体ならびに監査法人に配布し、研究成果を社会に還元した。
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