研究課題/領域番号 |
20330106
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
石井 まこと 大分大学, 経済学部, 教授 (60280666)
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研究分担者 |
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 教授 (80159441)
中澤 高志 大分大学, 経済学部, 准教授 (70404358)
宮本 みち子 放送大学, 教養学部, 教授 (60110277)
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キーワード | 少子化 / 地域労働市場 / キャリア形成 / 家族資源 / 家族形成 / 不安定雇用 / 職場定着 / 移行支援 |
研究概要 |
本研究は少子化時代のなかで地域に生活基盤を築こうとする若者の職業キャリアと家族形成の課題を探ることを目的としている。本年度は東北(岩手・山形)地域を中心に若者へのインタビューならびに彼・彼女らを取り巻く地域労働市場の変化と彼・彼女らのキャリア形成および生活課題を探るために、調査対象者の職業・家族形成に関しての経年変化を追った。特に、地域性と職業キャリア・家族形成の関係について分析を進めた。都市圏の雇用に比べ、就労確率の低い調査対象地域では、近年の労働市場の機能強化による派遣労働や非正規雇用といった不安定雇用の給源としての活用が進んでいる。こうした枠組みに規定され、地域における結婚・家族形成は困難化を来している事が明らかになった。特に年収が低く、教育を十分に受けられない層のキャリア形成は、就労条件や仕事内容が悪く、今後の仕事に見通しが持てず、働きがいや家族形成へのインセティブも低下している傾向がみられる。また、従来の土木建築業での出稼ぎとは異なる新しい出稼ぎ形態が生まれており、若年労働市揚の変化が家族形成に与える影響は大きい。地域若年雇用は全体として職場定着や就労条件からみて脆弱化が進み、正社員といえども賃金は低位にある。この結果、家族資源への依存および所得等の家族単位での集約に向かわせ、資源を集めても適切な居住環境や将来の独立の見通しが描けず、世代間の自律的な家族関係が築けないでいる。以上から、家族資源への依存構造からの離脱プロセスを模索し、階層、仕事、教育、家族の視点を加味した多元的な地域若年者の為の移行支援プロセスの実施が必要である。次年度以降は他地域の調査を行いつつ、有効な地域版移行支援プロセスを模索していく。
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