研究課題/領域番号 |
20330106
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
石井 まこと 大分大学, 経済学部, 教授 (60280666)
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研究分担者 |
阿部 誠 大分大学, 経済学部, 教授 (80159441)
中澤 高志 明治大学, 経営学部, 准教授 (70404358)
宮本 みち子 放送大学, 教養学部, 教授 (60110277)
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キーワード | 地方圏 / 地域労働市場 / 不安定就労 / 非正規 / 親資源 / 結婚難 / 雇用政策 / 社会階層 |
研究概要 |
本年度(最終年度)は九州(大分・宮崎)在住の若者58名に対し、仕事・家族形成の変化について3年後の追跡調査を行い、35名からインタビューにより回答を得ることができた。東北地域追跡調査と同様、非正規雇用からの離脱は少なく、正規になった後に非正規化するケースもあり、地域若年層が非正規雇用の給源として活用され、離脱が困難であることが明らかになった。一方で、東北地域に比べ、将来展望において不安感が語られることが少なかった。低水準ながらも現状に「適応」して生活を構築している点に加えて、同居の両親との関係が良好な対象者が多いことが将来展望に深い失望感を感じさせずにいることが窺える。しかし、現状「適応」の結果、経済負担を伴う結婚は先延ばしにする傾向がみられ、「適応」とはなんとかやれる程度であり、地域の雇用情勢の悪化次第で社会問題化していくと考えられる。今年度は調査結果を広く普及させるため、東北調査で行った30名の追跡調査も含めて、学生・市民および行政向けに地方圏における若年者就労・家族形成問題に関するシンポジウムを大分大学にて開催(2011.1.26)した。地域における若年者は低賃金、不安定雇用化で生活を何とか維持しているものの「適応」には限界がみえていることを指摘した。また、この間の雇用対策の地域シフトは高く評価しつつも、支援の乱立や継続性に問題を抱えていることや、支援の効果を見る際には社会階層の高低によって効果が異なっている点を考慮する重要性を示した。
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