本研究の目的は、現代社会における祖父母世代とその子世代(孫の親)即ち成人期の親子関係を、「世代間の育児支援」を軸として明らかにすることである。平成22年度は研究計画に基づいて海外調査と国内調査を実施した。 〈海外調査〉平成21年度に引き続き、スウェーデンの首都ストックホルム市と中部の小都市エステルスンド市において聞き取りと配布調査(留め置き)をおこなった。ストックホルムの民間保育所においては、通所児の父母と祖父母へのインタビューおよび配布調査、コミューン保育所においては配布調査をおこなった。この2保育所は比較的富裕な地区に位置していることから、比較対象として、非富裕地区の保育所においても同様の配布調査を試みた。当該地区は移民が多く居住するエリアでもあるため、「外国人の子どもの保育」という点に関しても保育所の職員への聞き取りをおこなった。外国人の子どもの保育という問題については、コミューンの幼児教育に関わる部署の職員への聞き取りもおこなった。エステルスンド市の保育所においても同内容の配布調査をおこない、さらにエステルスンド郊外の農村地域に暮らす人々にも世代間の育児支援の実態について聞き取りをおこなった。21年度調査において、スウェーデンにおいても育児における祖父母の出番が少なからずあることが確認されたが、22年度調査によって、その具体像がより明らかになるものと考える。聞き取り内容の翻訳作業は完了し、現在は、回収票の翻訳作業が進行中である。回収票の翻訳作業とデータ入力完了後に分析をはじめる予定である。 〈国内調査〉平成20年度に北海道名寄市と旭川市において実施した調査と同内容の質問紙調査(留め置き)を札幌市内の22公立保育所においておこなった。回収票については、現在入力作業を進めているところである。20年度と21年度の国内調査のデータとあわせて分析を進める予定である。
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