今日の社会では、社会全体の個人化、心理主義化、文化の多元化と消費の多様化に見られるように、社会の「液状化」と「連帯」の喪失といった、「社会的なるもの」が失われていく事態が進行しつつある。 それが顕著に表れる領域として、まず第一には階層間格差による連帯の喪失、第二には、ケアの個人化とアディクション等の様々な病理の登場が挙げられるだろう。それは、他の階層間のみならず、同一階層間での「他者」へのまなざしを消失させ、またしばしば、ケアを個別化・自己責任原則へと帰着させつつある。 本研究は、主として階層分化、対人援助と社会の「液状化」との関連を実証的に解明すると共に、それを元にした現代社会での新しい「連帯」の社会理論の構築を目指すものである。 階層分化と個人化、ケアの心理主義化の中で争点と立ち現れる承認構造を、プロジェクトメンバーの背景を生かしつつ、個別具体的な事象に定位しつつ、新しい「社会連帯」の理論構築につながることも構想するものである。
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