研究概要 |
平成21年度は,公共意識に対する家族・地域社会の影響について量的分析を行なうことを目的に,質問紙調査を行なった。都市・農村の比較分析のため,調査対象は,兵庫県神戸市東灘区と島根県隠岐郡隠岐の島町から20歳以上の男女,合計1,600人を選挙人名簿より無作為抽出した。質問紙は郵送で11月に配布・回収し,回収票数は神戸405票(回収率40.5%),隠岐273票(回収率45.5.%)であった。詳細な分析は22年度に行なうことになっているが,基礎的な分析の段階で,両地域間で人びとの意識の違いが随所に伺えた。主な点として,(1)人びとのマナーが悪いと思う人は各地域約8割を占めるが,マナー違反として,神戸では歩き煙草や電車・バス内での化粧,隠岐ではゴミの不分別に対して厳しい傾向がある,(2)地域活動は隠岐のほうが参加率は高い傾向が伺え,非常時に地域で助け合えると思う人は神戸69.4%,隠岐83.4%,(3)地域に誇りを持っていると答えた人は神戸57.0%,隠岐41.5%,(4)子育てで郷土愛の育成を重視する親は神戸30.6%,隠岐56.6%,伝統文化の体験を重視する親は神戸47.8%,隠岐57.5%,(5)各地域ほぼ全員が家族を信頼できると答えたが,近隣の人を信頼できるとした人は神戸34,9%,隠岐48.7%であった。次年度の分析課題として,以上のような,家族・地域生活に関する意識の違いが公共意識や社会的連帯にどのように影響するのか検討していくことが必要であると分かった。
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