本研究では、公共意識の育成に関して、家族や地域社会がどのように機能しているかについて調べるため、都市部(兵庫県神戸市)、郡部(島根県隠岐郡)での質的・量的調査を行なった。それぞれの調査から、公共意識の育成にとって、(1)都市部では、家族での基本的しつけを前提に、地域の教育力が育つことや、共通のルールを持つことで多様な価値の並存を図ろうとする「共生の考え」が重要であること、(2)郡部では、住んでいる地域社会に対するプライドや、人びとが一体になることを重視する「共同の考え」が重要な条件となること、などの仮説を提示することができた。
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