研究課題/領域番号 |
20330118
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
原田 正純 熊本学園大学, 水俣学研究センター, 客員研究員 (00040519)
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研究分担者 |
花田 昌宜 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
富樫 貞夫 熊本学園大学, 水俣学研究センター, 客員研究員 (70039957)
宮北 隆志 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50112404)
山本 尚友 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50280681)
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キーワード | 水俣学 / 健康被害 / 公害 / 水俣病 / ライフヒストリー |
研究概要 |
本研究は、発生の公式確認以来50年以上経過した水俣病事件において、現在の課題を明らかにするために水俣病被害を医学の面のみならず社会的制度的側面から再評価し、歴史と地域の研究の中に位置づけ直すことを課題としている。また、本研究は、学際的方法、地域住民や関係者らとの協働、地域の成果還元、国際発信を柱として徹底した現地主義に立つ水俣学の構築と発展に寄与するものである。第三年度は下記のような調査研究を実施した。全体としては、夏季の調査、定期的な検診と聞き取り、また、定例的な研究会の実施ならびに1月には水俣病事件研究交流集会を開催した。 【医学としての水俣病の再定義】研究班では、原則として隔週、水俣学現地研究センターにおいて医療福祉健康相談をかねて検診および聞き取りを実施してきた。また、対岸離島への訪問調査、胎児性患者らの自宅を訪問しての調査を行ってきた。若い世代の病像を検討し、旧来の認定基準の非整合性が問われていることを明確にした。 【社会運動と制度政策の変容の連関】研究班では、患者運動への参与観察を進めるとともに、水俣病の疫学および病像をめぐる法制度上の論点整理作業を胎児性水俣病WGを組織して実施している。なお、加害企業チッソ分社化と被害者救済を定めた水俣病特措法をめぐっての水俣での研究会を開催し、また資料収集や関係者のヒアリングも進めた。 【地域の歴史と現在の固有性】研究班では、漁民史のヒアリングと資料収集を行った。また、日本での成果を海外に発信するとともに、水俣病の社会的被害に関して共通性と相違について手がかりを得たところである。とくに、チュラロンコン大学などとの連携に基づき、タイ国でシンポジウムや研究会が開き、水俣病事件に関する報告及び討論を実施した。また原因企業チッソの労働組合機関紙を復刻したが、その中で水俣病と労使関係に関する考察を行った。
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