インドネシア・フィリッピンから来日した介護福祉士候補者のコミュニケーション能力・日本語研修・就業・生活の状況等を調査するとともに、インドネシア・フィリピンの研究者や政府行政官と連携し、また直接訪問して各国政府の考え方、応募者の応募動機、期待などを調査した。 1、介護福祉士候補者の状況 来日後1年から2年が経過した状況では、日本語によるコミュニケーションは必ずしも十分ではなかった。日常会話は少しずつ可能になってきていたが、漢字で表記されている利用者の名前、介護・医学用語などが十分に伝わらない状況であった。国家試験に向けて日本語学校に通う時間を確保したり、日本語指導のボランティアを付けるなどの対応をしている施設もあったが、多くは自発的な学習を支援する程度であった。受入れた場合、施設の寮やアパートに食器や調理器具等を用意し、日常生活は、ほとんど問題はなかった。また、多くの場合、食事・入浴・排せつなどの直接的介護は1人前に行っており、利用者の評価も比較的よかった。 2、インドネシア・フィリッピンの訪問調査 介護福祉士候補者として応募する動機は、出稼ぎ労働者として働き、生活を豊かにしたいということである。したがって、報酬や労働条件に対する要望希望が多い。また、他の国と平等に処遇するように、困難に直面した場合は保護してほしいとの要望が強く表明されている。各国の施策として課題と思われる点は、両国とも労働省や海外労働省がこの事業を所管しており、今後の連携や人材育成と関係する保健省や福祉省と連携が取れていないことである。この点に関しては早急な検討が必要と思われる。
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