日本と1999年12月末に入所施設解体を成し遂げたスウェーデンとの比較を通して、(1)何がこのような違いを生み出しているのか、(2)(そもそも)スウェーデンの入所施設解体がなぜ成し遂げられたのか、(3)入所施設解体を支えてきた地域生活支援システムとは何か、などを明らかにし、(4)日本の脱施設化と地域生活支援システム構築に何をどのように生かしていけばよいのか、を検討していくことを目的として本研究が行われた。 まずはじめに、スウェーデン・ストックホルムの北西部に位置していた施設カールスルンドの解体を念頭に入れながらスウェーデン脱施設化史の展開を追った。次に、A法人の取り組みを念頭に入れながら日本の脱施設化の実態を追った。この2つの動き・事例を通してて、脱施設化に関して、(1)何がこのような違いを生み出し、(2)スウェーデンではなぜ入所施設を解体することができたのか、(3)入所施設解体のためには何が必要とされてきたのか、などを検証した。その上で、日本とスウェーデンの元施設居住者が今地域でどのように生活し、どのような支援を必要としているのかを明らかにした。 その結果、日本における脱施設化(地域移行と地域生活支援)の実態はまだ発展途上にあり、今後もスウェーデンなどの福祉先進国の取り組みを参考にしながら、脱施設化と地域生活支援システム構築に向けた取り組みを強化していくことが求められていることが判明した。
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