本年度も東アジア地域の社会的リスク問題にソーシャルワーク理論と実践がどのように対処していくかの研究に取り組んだ。共同研究会1回、国際シンポジウム(セミナー)を1回開催した。本年度も調査研究は4研究グループで実施した。第1グループは多文化家族における育児ストレス、虐待についての研究である。前年度は妻に対する調査を行ったが、本年は台湾での夫が妻からうける虐待問題、夫の日常生活に関するストレス問題についてのデータを分析し、研究成果を出すことができた。また東アジア地域用老親扶養意識測定尺度の交差妥当性を中国でのデータからも明らかにすることができた。第2グループは東アジア地域の高齢者介護観、介護サービス利用の決定要因に関する研究である。韓国の療護保護士や在宅サービス高齢者調査、中国での老人ホーム調査を実施することができた。第3グループは児童虐待問題に取り組んだ。虐待する親へのプログラムの比較検討とプログラム開発である。韓国、日本のプログラムを中心に取り組んだ。第4グループは社会福祉専門職者の養成教育問題とともに、どのような視点や意識から援助・支援を継続的にできるかについて取り組んだ。特に高齢者福祉施設の生活相談員の職務満足度が与える影響について研究した。多文化社会研究に関する情報収集のために第34回国際社会福祉会議(香港)への参加、また多文化社会における社会福祉専門職養成教育では歴史があるアメリカ合衆国の学会に参加して、現状の理解と情報収集を実施することができた。
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