本研究は、知的障害者を対象に、居住の場における支援内容のあり方を検討する。 今年度は、前年度の業務実態調査で残された課題、居住の場で働く職員の労働条件のきびしさの内容について調査課題とした。具体的には、労働条件等の問題が職員のメンタルヘルスにどのように表れているのか、日中活動で働く職員と比較する精神健康度尺度調査と自由記述回答の質的調査を実施した。 大阪府及び京都府内の障害者施設職員約1173人から回答を得た(回収率52.9%)。結果では、日中活動の場で働く職員に対して有意な差が生じると仮定したが、まったくそれはなかった。居住の場固有な困難さ、厳しさなどはなく、全般に、ハイリスク者が62%と高く、きびしい条件にあるといえる。とくに20歳代後半からの中間管理職、40歳代後半の管理職とくに女性にメンタルヘルス上のリスクが高くあらわれていた。 これらは、職階のあり方さらにライフサイクルの危機の問題と重なっていると想定される。いずれも障害者という対象に働きかける労働量あるいは技能とは異なる点で労働条件の問題が負担として表れていることになる。 家事労働と同様な多種多様な業務をもつ居住の場における労働のキャリア発達と言う視点からの考察が今後要請される。
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