研究課題
本研究では、介護保険制度における要介護認定と給付データによって構築された2,000万人分の要介護高齢者の経年的データベース用いて、第1に「要介護高齢者の身体機能および精神、認知機能の経年的な変化」を予測に基づいた高齢者分類モデルを開発し、第2に、この予測モデルの適用を高めるために「要介護認定データを用いた集団同期による高齢者分類方法の開発」を行う。これらの成果をもとに、適切な介護予防サービスのマネジメントを提供できるよう支援するための「介護予防サービス提供のためのガイドライン」の作成を目的としている。本研究において、研究代表者らが開発した要介護高齢者の経年的なデータベースを用いて、新たな要介護高齢者の分類を開発した。さらに、この分類を用いて、高齢者の状態像の変化より、維持・改善・悪化の3群に高齢者を弁別することができた。これはこれまでの介護予防対象者が現時点で要介護が低いという要件によってスクリーニングがなされていたのに対し、経年的に改善する可能性がある真に介護予防が有効な高齢者群が存在していたことをデータ分析によって実証したという点において、大変意義のあるものと考えられた。また、開発した高齢者分類の妥当性を検証するとともに、高齢者分類別の介護や介護予防サービスの提供実態との関連性について分析を行った。また、最終的にこれまでの要介護度の高低ではなく、サービスの提供によって状態が改善する群に分類された高齢者に対する適切な介護予防サービスの提供方法についてガイドラインを作成した。当該ガイドラインは、現在介護予防ケアプランの作成業務に忙殺されている地域包括支援センター職員に対し、科学的根拠に基づいたサービス提供方法を提示することとなり、介護保険行政においても、重要性の高いものとなると考えられた。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
Nonlinear Theory and Its Applications IEICE 2011
巻: Vol.2-No.1 ページ: 128-138
Journal of the National Institute of Public Health 2010
巻: No.4 ページ: 365-370
International Sociological Association 2010 World Congress, Contribution paper.Conference Abstracts
ページ: 495
ページ: 304