研究課題/領域番号 |
20330133
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
唐沢 穣 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90261031)
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研究分担者 |
岡本 真一郎 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (80191956)
宮本 聡介 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (60292504)
松井 智子 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (20296792)
内田 由紀子 京都大学, こころの未来研究センター, 助教 (60411831)
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キーワード | 社会的認知 / コミュニケーション / 言語 / 文化 / 感情 / 原因帰属 |
研究概要 |
1.認知、文化、言語と伝達に関する社会心理学的なモデルを構築する試みを継続した。 2.コミュニケーション行為が社会的事象の説明に与える影響に関する実験的研究を行った。大学生の実験参加者が、犯罪事件のケースを読んだ後、刺激人物が犯罪に至った原因を説明するよう求められた。実験結果は、伝達目標がある場合には、それがない場合に比べ、より多くの情報を用いて原因の説明が行なわれることを示した。これにより、説明の受け手の認知環境への考慮が、伝達者自身が形成する人物表象にも影響を与えることが示された。さらに、伝達目標が記憶に与える影響は、原因の説明内容によって媒介されることも明らかになった。 3.動詞の他動性が原因推論に与える影響についての実験研究を推進した。同一の事象を「壊れた」「壊した」のように自動詞・他動詞のいずれを用いて表現するかによって、発話者の原因知覚、およびそれに関する聞き手の推論内容が変化することを示すための実験を計画し、そのための予備的検討を行った。実験刺激文の選定はほぼ終えているが、予備調査の結果は当初予想したよりも複雑な過程の介在を示しており、さらに詳細な検討の必要性を明らかにした。 4.情報伝達が態度変容に及ぼす影響に関する実験研究を行った。結果は、相反する情報をもった2者が情報交換を行うと、直後は相互に歩み寄る方向へ態度が変化するが、その後に第三者に情報伝達を行う時には初期態度へと回帰する傾向が明らかになった。その基底にある心理的過程を明らかにするための、さらなる研究への発展可能性を示した。 5.上記の他にも、他者の心的状態についての知識・信念の発達過程に関する研究や、感情表現の文化心理学的研究についても、当初の予定にほぼ沿った進捗を見せている。
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