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2008 年度 実績報告書

言語学習システムの成立・洗練過程に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20330135
研究機関東京大学

研究代表者

針生 悦子  東京大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (70276004)

研究分担者 梶川 祥世  玉川大学, 脳科学研究所, 助教 (70384724)
キーワード言語発達 / 語彙獲得 / 助詞 / 単語聴取 / 擬音語(オノマトペ) / かな文字 / 乳幼児
研究概要

子どもは2歳近くになれば、初めて出合った語でもすばやく的確にその意味を推論できるようになっている。本研究は、この効率よい語彙獲得メカニズムに注目し、1)それは乳児期においてどのように立ち上がってくるのか、2)いったん成立したこの学習メカニズムはその後どのように洗練されていくのか、を明らかにすることをめざしている。
このうち1)の「助詞」プロジェクトでは、6,10,14か月の乳児を対象に実験をおこない、日本語を母語とする子どもは生後14か月までには、発話中の助詞を聞き取ることができているだけでなく、助詞は省略可能であることまで理解しているらしいことを見いだした。一方、2)の「オノマトペ」プロジェクトでは、ドンドンとトントンのような有声性において対比される擬音語ペアに注目し、このような尺アにおいて、有声音で始まる擬音語はより大きなモノがから出るより大きな音をヤ無声音で始まる擬音語はより小さなモノから出るより小さな音を指すことを、子どもはいつから理解しているのかを調べた。結果としで少なくとも4歳までに子どもは、「ドンドン/トントン」のような既存の擬音語ペアだけでなく、「ゾンゾン/ソンソン」のような新奇な擬音語ペアも、有/無声音を大/小の音に対応づけるルールを適用して理解できるようになっていることがわかった。ただし、4歳でまだ濁音文字が読めない子どもで、このルールを新奇な擬音語ペアに適用する率は、既存の擬音語ペアに適用する率より低かった。ここから、おそらく子どもは、既存の擬音語を耳にする中で、有/無声音で対比される擬音語は音の大/小に対応づけられることを学び、それが新奇な擬音語ペアにも適用可能な一般的な"感覚"になっていく上で、有声音と無声音を濁音の有無で対比させて表記するかな文字についての知識は一定の役割を演じていることが示唆された。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 対称性、条件性弁別課題、そして言語獲得2009

    • 著者名/発表者名
      針生悦子
    • 雑誌名

      認知科学 16

      ページ: 138-141

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 乳児における格助詞「が」の認識2009

    • 著者名/発表者名
      梶川祥世・針生悦子
    • 雑誌名

      玉川大学脳科学研究所紀要 2

      ページ: 13-21

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 音声知覚発達研究のブレークスルーに期待2009

    • 著者名/発表者名
      梶川祥世
    • 雑誌名

      ベビーサイエンス 8

      ページ: 50-51

  • [雑誌論文] 言語獲得2008

    • 著者名/発表者名
      針生悦子
    • 雑誌名

      日本児童研究所(編)「児童心理学の進歩2008年版」

      ページ: 1-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Novel noun and verb learning in Chinese-, English-, and Japanese-speaking children.2008

    • 著者名/発表者名
      Imai, M., Li, L., Haryu,E., Okada,H.,Hirsh-Pasek,K., Golinkoff,R. & Shigernatsu,J.
    • 雑誌名

      Child Development 79

      ページ: 979-1000

    • 査読あり
  • [学会発表] 幼児の擬音語理解:ドンドン鳴る太鼓はトントン鳴る太鼓より大きいことの理解とかな文字知調2009

    • 著者名/発表者名
      針生悦子
    • 学会等名
      日本発達心理学会第20回大会
    • 発表場所
      日本女子大学
    • 年月日
      2009-03-23
  • [学会発表] Then, when and how should we start teaching children a foreign language?2008

    • 著者名/発表者名
      Haryu, Etsuko
    • 学会等名
      The International Conference on Teaching and Learning in School: Issues and Challenges
    • 発表場所
      Seoul National Univers.
    • 年月日
      2008-10-31
  • [学会発表] 形容詞解釈の発達的変化:多肢選択課題による検討2008

    • 著者名/発表者名
      坂本恵子・針生悦子
    • 学会等名
      日本心理学会第72回大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2008-09-20
  • [学会発表] 6-15ヶ月児における格助詞「が」の認識2008

    • 著者名/発表者名
      梶川祥世・針生悦子
    • 学会等名
      第22回日本音声学会全国大会
    • 発表場所
      明海大学
    • 年月日
      2008-09-15

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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