研究課題/領域番号 |
20330136
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 智子 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (20296792)
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研究分担者 |
東條 吉邦 茨城大学, 教育学部, 教授 (00132720)
谷口 清 文教大学, 人間科学部, 教授 (50200481)
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キーワード | 自閉症 / プロソディ / 会話スキル / 対人コミュニケーション |
研究概要 |
自閉症スペクトラム児・定型発達児のプロソディー理解の総合的比較検証として、イントネーションやストレスによって示唆される会話における話し手の感情、態度、知識の有無や確信度の高低、コミットメントの強弱などを、ASD児がどのように理解するかを、視線や注視時間を指標にして調査した。そのーつとして、話し手の確信度を示す語彙(文末助詞の「よ」「かな」)とイントネーション(下降調・上昇調)の理解を調査するために、語彙学習のパラダイムを用いた実験を行った。新奇語彙が示す物体を選択する場面において、確信度が異なった、相反する二情報が示されたときの、被験児の選択的注視を計測した。文末助詞やイントネーションを手がかりに話者の確信度を理解しているならば、より高い確信度を示す文末助詞「よ」や、下降調のイントネーションにマークされた物体を長く見るだろうと予測された。被験児の反応を測る方法として、視線追跡装置(Tobii-T120)を用い、刺激動画呈示中の幼児の注視時間、注視方向を記録した。また分析ソフト(Clear View)を用い、選択場面におけるに物体について興味領域を設定し、その領域内に向けられた注視時間を抽出し、各対象への注視時間を加算平均し比較を行った。その結果、自閉症スペクトラム児は、より明確に語彙という形で表現された場合のほうが、イントネーションで表現される場合よりも確信度を理解しやすいことが示唆された。英語には存在せず、また動詞などと比較して日常会話での使用頻度が高い、文末助詞という手がかりによって、相手の心的態度を判断しやすいことが明らかになった。
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