研究課題/領域番号 |
20330136
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
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研究分担者 |
東條 吉邦 茨城大学, 教育学部, 教授 (00132720)
中村 太戯留 慶應義塾大学, 環境情報学部, その他 (80409797)
三浦 優生 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (40612320)
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キーワード | 自閉症 |
研究概要 |
23年度は以下の3つの調査を実施した。いずれもASD児と定型発達児20名程度を被験者とした。 ①ASD児・定型発達児によるプロソディの表出の記録・分析 確信度の強弱にともなうプロソディの特徴を調査するために、半構造化された場面における発話データを収集した。課題においては、実験者による知識を問う質問に対する対象児の回答を記録し、発話における音響的特徴と正答率との関係を、ASD児・定型発達児で比較した。また、回答に対する確信度の度合いを自己評価してもらい、内観との関連も検証した。 ②アイトラッカーを用いた感情プロソディに基づく定位反応の検証 音声に基づく定位反応の生起を、プロソディを刺激とした状況下で検証する。眼球運動追跡装置を備えたモニタに複数の画像(顔、モノなど)を呈示した。それに先行して呈示される、特定の感情値を伴った音声による聴覚刺激に基づき、対象画像を特定するまでの反応時間を記録・分析した。 ③ASD児・定型発達児によるプロソディを伴うアイロニーの理解 定型発達児は8歳ごろにアイロニーの理解が始まるが、文字刺激のみで伝達された場合よりも、アイロニーに特有のプロソディが伴っている場合にその理解が促進されることがわかっている。自閉症児の場合、アイロニーの理解は健常児に比べて困難であることが予測されるが、プロソディが手がかりとして加わる場合に何らかの促進効果が生じるのかどうかを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
着実に研究調査の結果が出てきており、今年度は国際語用論学会、国際幼児言語学会、日本心理学会、日本発達心理学会などでその成果を発表してきている。さらには社会的なフィードバックとして、調査参加者の保護者や自閉症に関心のある教育者、研究者に向けての報告会も開催し、社会的なフィードバックを行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
自閉症児の調査参加者の確保が困難な場合があり、調査の時期が遅れたり、延長されたりすることがこれまでにあった。今後は研究者間、協力者間の連携をさらに密にして、調査参加者の協力を確実に得られるようにしたい。
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