研究概要 |
(1)乳幼児の母親と乳幼児の孫がいる祖母を対象とした質問紙調査を実施した。その結果,子どもの食に関する技能の伝達は,家族・親戚経由から専門家・メディア経由へと変化していること,,専門家志向の高い母親は授乳・離乳の進め方について柔軟性が低いことし一方沖縄離島では,祖母と母親のリンクが強い群と本土出身の相対的に断絶度の強い群が併存していることが示された。 (2)育児雑誌の分析:1970年代~2000年代に発行された育児雑誌2誌を分析した。育児雑誌は専門的知識の伝達・指導型から,悩み共有・励まし型へと変化していることが示された。 (3)47都道府県から抽出された4560名(回収675人,有効回収175人)の質問紙から子の健康状態・食習慣・母親の食意識・療育態度等の把握の解析を行った。小学生の咀嚼能力の測定と子の食環境,精神的健康を含めた健康状態を把握できる調査とそのデータ入力と一部解析を行った。 (4)就学前乳幼児を養育中の母を対象に行ったインターネット調査の結果について分析を行った。1309名からの自由記述文を,「対象」「内容」「特徴」別に計31項目から内容分析をおこなった。インターネット調査において要求授乳に関する因果モデルを構築し,偏食の母親は家族に対して偏った食環境を提供していることが明らかとなり,母親の授乳スタイルは出産前の食生活から家庭において提供する食環境を予測する上でも重要な行動であることが示唆された。またインターネットで離乳を調査したところ,紙媒体での調査結果に比べてより都市部的な回答傾向が指摘された。 (5)乳児の授乳場面における母子の相互作用に関する縦断的な観察研究を継続中である。
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