研究課題/領域番号 |
20330141
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松井 三枝 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (70209485)
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キーワード | 統合失調症 / 記憶の組織化 / 抑制機能 / fMRI / 前頭前野 / NIRS / 神経心理検査 / 注意 |
研究概要 |
本研究では、統合失調症を中心とした前頭前野機能障害の病態解明および前頭前野機能の役割とその神経基盤を明らかにすることを目標として、第1に、脳磁気共鳴画像(MRI)と神経心理検査双方を同一被験者に行い、前頭前野の下位領野の体積と遂行成績との関連を検討する。第2に、脳機能画像によって、前頭葉課題による前頭前野の脳活性部位を明らかにする。第3に局在病変のある前頭葉損傷患者、統合失調症および健常者に神経心理学的検査バッテリーを施行し、比較検討する。本年度は、20~22年度に実施した記憶の組織化の検討について、さらに深めるために記憶方略およびメタ記憶の関係を具象語と抽象語両方の単語学習課題を作成して検討を行なった。同時に前頭葉機能検査バッテリーを施行し、記憶方略およびメタ記憶と前頭葉機能との関連を検討してきている。さらに、本年度は情動処理系を抑制する前頭前野の脳活動を検出することが仮定される注意課題を作成し、健常者にこの課題施行中の機能的脳磁気共鳴画像(fMRI)を実施したデータについて解析を行なった。その結果、高不安者では脅威刺激に対する処理の促進が消失し、さらに情動処理系に対して抑制的に作用するとされる左前頭前野の活動が、不安得点が高いほど強くなることが示された。これらの結果により、脅威刺激が課題関連な場合には高不安者が脅威刺激に対する過剰な抑制を行なっている可能性が示された。さらに、近赤外線分光法を用いて、抑制課題を開発実施し、データ収集を行なってきている。また、統合失調症患者と同様に前頭葉損傷患者に神経心理学的検査バッテリーを施行し、データを蓄積しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1については比較的順調に成果を出すことができてきた。目的2および3については、関連する分野との連携がとれ、脳機能画像および神経心理検査バッテリーの取り組みに着手できている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床応用可能性の観点から、脳機能画像研究としては近赤外線分光法による前頭葉関連課題の検討をさらに推し進めすことをひとつの課題とする。さらに、最終年度は神経心理検査バッテリーをもちいた検討については、できるだけ多数例の検討ができるように協力可能な被験者で推し進める予定である。
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