研究課題
本年度は名古屋大学附属病院産科と協力して、名古屋大学附属病院を受診した妊婦を対象に妊娠早期よりの前方視的調査を継続して実施し、調査人数を増加させることを第1の目的とした。大学院生の参加を得て、調査体制を整備し調査を継続した。調査時点は妊娠初中期、妊娠後期、産褥期、産後1ヵ月、産後6ヵ月、1歳、1歳半、2歳、2歳半、3歳の時点であり、質問紙の内容は、各時期で異なっているが、母親の抑うつ、子どもに対する愛着等を調べる尺度が主要な尺度として各調査時期に含まれている。このようにして集められた現在の調査人数は、妊娠初回759名、妊娠中期460名、妊娠後期434名、産褥期394名、産後1ヵ月174名、産後6ヵ月195名、1歳26名、1歳半121名、2歳137名、2歳半69名、3歳29名であった。これまで調査を継続してきたおかげで、かなりの調査人数が集まりつつある。このようなデータの収集を本年度の第1の研究目的としてきたが、さらに、これらのデータを基にいくつか予備的な分析を行った。まず、妊娠中の母親の抑うつと胎児への愛着が出産後2年目の母親の虐待傾向とボンディングにどのような影響を与えているか、検討を行った。その結果、妊娠中の母親の抑うつと胎児への愛着は、出産後2年目の母親の虐待傾向とボンディングに影響を及ぼしていることが示唆された。また、母親の乳児に対する愛着と乳児の気質的扱いにくさが産後の母親の抑うつにどのように影響するか、予備的な分析を試みた。その結果、母親の乳児への愛着が高いと乳児の気質的な扱いにくさが高くても、母親の抑うつは高まらないことが示唆された。
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精神医学 50巻
ページ: 318-328
児童青年精神医学とその近接領域 49巻
ページ: 497-508
Journal of Aging and Health 20巻
ページ: 526-544