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2010 年度 実績報告書

不安の潜在的・顕在的処理に関する認知臨床心理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20330144
研究機関広島大学

研究代表者

岩永 誠  広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40203393)

研究分担者 横山 博司  下関市立大学, 経済学部, 教授 (80158378)
坂田 桐子  広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (00235152)
藤原 裕弥  東亜大学, 人間科学部, 准教授 (20368822)
金井 嘉宏  広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教 (60432689)
キーワード潜在的処理 / 顕在的処理 / 社会不障害 / 不安反応 / 自己注目 / 視線 / 自尊心
研究概要

平成22年度は,(1)社会不安障害の潜在的・顕在的記憶構造とその変容過程の検討,(2)社会不安者の視線行動の対処的意味に関する検討,の2つを行った。得られた知見は以下の通りである。
(1)社会不安障害の潜在的・顕在的記憶構造とその変容過程の検討:社会不安高者に対して,エクスポージャー法と認知療法の介入実験を行った結果,以下の点が示された。(1)介入によって顕在的連合は変容したが潜在的連合は変容せず,顕在的連合に遅れて潜在的連合の変容が生じる可能性が示された。このことは,社会不安障害の治療介入終結後の再発は,潜在的連合の未修正によるものであることを示唆する。(2)介入終了3ヵ月後の不安症状(生理的反応)が介入終了時の潜在的連合の強度と関連する傾向が認められた。(3)エクスポージャー法は,生理的反応の馴化を促進する一方,認知療法プログラムは、社会不安障害特有である「他者からの否定的評価に対する認知の歪み」の修正を促すことが示された。
(2)社会不安者の視線行動の対処的意味に関する検討:スピーチ中のアイコンタクトを調べた結果,以下のことがわかった。(1)社会不安高者は,スピーチ中に相手とアイコンタクトする時間が長く,自己注目を喚起する条件で顕著であった。これは,自分の不安を相手に伝えないようにする対処的意味があることを示唆するものである。(2)スピーチをしているときよりも,スピーチを聴いているときに,相手とのアイコンタクトが多いこと,不安や内的情報への注意,注意の不安定性が高まることがわかった。これらの結果から,スピーチをすることで不安が高まり,注意が拡散的になっていることが示唆される。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 日本語版Environmental Reward Observation Scale(EROS)の作成と信頼性・妥当性の検討2011

    • 著者名/発表者名
      国里愛彦
    • 雑誌名

      行動療法研究

      巻: 37 ページ: 21-31

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interpretation bias for ambiguous social behavior among individuals with high and low levels of social anxiety2010

    • 著者名/発表者名
      Kanai, Y.
    • 雑誌名

      Cognitive Therapy and Research

      巻: 34 ページ: 229-240

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 社会不安障害の異常心理学と認知行動療法2010

    • 著者名/発表者名
      佐々木淳
    • 雑誌名

      感情心理学研究

      巻: 18 ページ: 33-41

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自閉症スペクトラム傾向を示す大学生の抑うつにソーシャル・サポートと被害念慮が及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      金井嘉宏
    • 雑誌名

      カウンセリング研究

      巻: 43 ページ: 114-119

    • 査読あり
  • [学会発表] 社交不安の情動処理に対するエクスポージャーと認知療法の効果2011

    • 著者名/発表者名
      青木(佐々木)晶子
    • 学会等名
      第3回日本不安障害学会学術大会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      2011-02-06
  • [学会発表] 情動調整能力が対人不安と認知の歪みに及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      金井嘉宏
    • 学会等名
      日本行動療法学会第36回大会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2010-12-06
  • [学会発表] 対人不安の記憶構造が注意バイアスに及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      青木(佐々木)晶子
    • 学会等名
      日本行動療法学会第36回大会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2010-12-06
  • [学会発表] 心の行為における発達段階的因子構造の特定及び強迫症状の維持要因の究明2010

    • 著者名/発表者名
      沖秀信
    • 学会等名
      日本行動療法学会第36回大会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2010-12-06
  • [学会発表] 高目標設定行動における報酬系・罰回避系の強化メカニズムと適応性との関連2010

    • 著者名/発表者名
      増井綾及
    • 学会等名
      中国四国心理学会第66回大会
    • 発表場所
      米子市
    • 年月日
      2010-11-14
  • [学会発表] 防衛的悲観主義の対処柔軟性に関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      岩永誠
    • 学会等名
      日本心理学会第74回
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2010-09-22
  • [学会発表] 対人不安者の内的・外的刺激に対する注意バイアス2010

    • 著者名/発表者名
      金井嘉宏
    • 学会等名
      日本心理学会第74回
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2010-09-21
  • [学会発表] 臨床研究へのMulti-Level Model適用の試み2010

    • 著者名/発表者名
      岩永誠
    • 学会等名
      日本心理学会第74回
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2010-09-21

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公開日: 2012-07-19  

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