研究概要 |
不安障害者は理屈でわかっていても,適切に行動することができないという特徴を持つ。「理屈ではわかる」というのは,顕在レベルの処理段階を指していることから,不安障害の病理的行動は,この顕在的な処理段階だけでは説明できないことがわかる。そのため,潜在的な側而をも対象とした検討が必要となってくる。本研究では,不安障害における潜在的処理について検討し,それと顕在的処理との関係,および認知処理の特徴や不安反応との関係を調べることで,不安障害の認知情報処理上の歪みと不安表出の特徴を明らかにすることを目的としている。検討の対象として,不安障害においてもっとも罹患率の高い社会不安障害を用いた。以下の研究について,社会不安傾向の高い対象者を用いたアナログ研究を計画した。 (1)社会不安障害における潜在的記憶構造の解明と顕在的記憶構造との関係に関する検討 (2)社会不安障害の潜在的・顕在的処理が不安反応の表出モード(主観・行動・整理)との対応に関する検討 (3)社会不安障害の治療プロセスにおける潜在的・顕在的記憶構造の変容における検討 (4)社会不安障害における自己注目と注意の関係について,視線行動を用いた検討
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