研究課題
教育分野では、小学生用に開発した遅延割引質問紙を用いて、遅延割引の発達的変化を検討した結果、遅延割引率は6-8歳にかけて著しく低下することが明らかになった。また、割引率は、算数の成績や不安尺度群と相関することが示された。加えて、自己制御を高める授業による介入により、自己制御を改善できることが示唆された。さらに、大学生の割引率は、認知的衝動性、無計画性等との間に有意な相関のあることが明らかにされた。さらに、大学生の遅延割引と学習行動との関係を検討した結果、テスト直前の学習時間(一夜漬け)時間の割合は遅延割引が激しい学生ほど高いこと、さらに、遅延割引の程度が激しい学生ほどレポート作成に取り組む時間が短いことが見出された。これらの結果は、遅延割引が激しい学生への支援が重要であること.を示している。一方、医療分野では、まず健常者の食事・生活管理行動が既存の自己制御傾向や社会的なQOLにより予測されることが示された。次に、2型糖尿病の患者に入院中に実施した自己制御検査の結果と、退院後のHbAlcの推移の関係が分析された結果、社会的なQOL得点等と退院後のHbAlcの推移の間に相関があることが示された。さらに、高齢者を対象として、口腔保健行動に関連する評価尺度、及び、保健行動の実行力を評価する自己制御尺度を開発した。次に、口腔ケア課題を高齢者に依頼し、それらの自己制御得点と口腔ケア課題の遂行力の関係を分析した結果、課題実施群の方が非実施群よりも自己制御得点が高かった。続いて、慢性腎臓病患者では、薬物療法及び食事療法の遵守群の自己制御傾向が、非遵守群と比較して有意に高いことが示された。さらに、2型糖尿病患者では、調理する者と食事療法の遵守群がこれらの尺度の得点と有意に関連することが示され、開発した尺度の有効性が例証された。
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日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌
巻: 15 ページ: 199-208
大阪市立大学大学院文学研究科博士論文
ページ: 1-175
http://www.asahikawa-med.ac.jp/dept/ge/psycho/kiban-b/