研究課題
本研究は、不確実性を伴う意思決定場面において、脳と身体がどのように機能的に関連しながら、最適な決定を導いていくかという原理を解明することを目的としている。平成20年度前半では、本研究で用いる実験パラダイムとして確率学習課題についての基礎的検討を行った。この課題では、2つの刺激の選択に一定確率で金銭的な報酬と損失を随伴させ、被験者が試行錯誤を通して報酬を最大化することが求められる。今年度の検討の結果、こうした比較的単純な課題であってもヒト被験者への適用が妥当であると認められること、この課題での選択行動は、動物と同様に刺激-報酬・損失に対応したマッチングを示すことが明らかになった。この知見を基に、平成20年度後半では、上記の確率学習課題を遂行している際の脳活動と末梢身体反応を、PETと自律神経系・内分泌系・免疫系反応の同時測定により検討した。その結果、確率学習課題の遂行時には、さまざまな前頭前野部位と背側線条体の賦活が観測されること、それらの脳部位の活動は、末梢身体反応をトップ・ダウン的に制御していることが明らかになった。さらに、報酬の獲得・損失に伴い一種の感情反応が生じるが、その強度の個人差の一部は、セロトニン・トランスポーター遺伝子の多型により説明できることを示した。
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Transactions of Japan Society of Kansei Engineering (In press)
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