研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、乳幼児期の共感性や道徳性の発達を、初期の社会的認知能力との関係を特定しその萌芽から後の高次の共感行動・道徳性の発達経路を明らかにすることである。また、脳科学的手法を用い、それらの脳内基盤をも明らかにする。すなわち、社会能力の最も重要な要素である、共感性や道徳性の個体発達的起源を明らかにし、その脳内基盤を特定することによって、社会に提言できる知見を得ることにある。本研究が取り組む課題および回答を与えるべき問いは以下の3点である。(1) 乳幼児の共感性・道徳性の発達の萌芽はどこにあるか?(2) 共感性・道徳性の脳内基盤は何か?(3) 共感性・道徳性の発達に与える環境要因は何か?道徳観の発達は、古くから、コールバーグの研究が有名であるが、今や古典といっても過言ではなく、新しいパラダイムが必須である。本研究では、先述した3つの問いに回答を与えるべく、乳幼児研究の新しいパラダイムと近年の脳研究の進展とを組み合わせた、神経倫理学(共感行動や道徳性の脳内基盤を特定する研究)という新しい領域を創設するという目的も併せ持っている。具体的な計画としては、以下の通りである。1)すでに縦断研究で得られている、発達初期の社会的認知(顔認知、視線認知、社会的因果性認知、生物学的動きの認知)と共感行動・道徳性の発達との因果的関係を明らかにする。すでに、30名弱の被験児を対象に、縦断的研究をおこなっており、実現の可能性は疑う余地もない。また、2)脳波や光トポグラフィーを用いて、脳内基盤の特定を試みる。豊橋技術科学大学の北崎充晃准教授(脳波計測)の協力のもとに行われる。さらに、3)環境要因の調査として、種々の質問紙を準備しており、共感性や道徳性の発達に関する対人環境を含めた環境要因を抽出する。また、こうした方法を取りつつ、神経倫理学という新しい研究領域の創出も視野に入れている。
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Sensors and Materials 23
ページ: 87-94
Social Development 20
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Psychologia. (in press)
Proceedings of the Royal Society B : Biological Sciences. (in press)
Journal of Genetic Psychology (in press)
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