研究課題/領域番号 |
20330153
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三浦 佳世 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (60239176)
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研究分担者 |
一川 誠 千葉大学, 文学部, 准教授 (10294654)
荒生 弘史 広島国際大学, 心理科学部, 講師 (10334640)
河邉 隆寛 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 特任准教授 (40423511)
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キーワード | 時間知覚 / 運動速度 / 運動方向 / リズム / テンポ / 時空間処理 / 知覚-運動対応 / 視聴覚相互作用 |
研究概要 |
本研究の目的は、時間知覚、時間印象、意識の時間相など、心的時間に関わる複数の事象を、相互関連的、多感覚的に捉え、実証的知見をもとに、心的時間に関する包括モデルを提示することである。本年度は、各自の研究を推進するとともに、報告会および研究集会を通して相互理解を深め、今後の研究の展開について議論した。以下に、具体的な成果の一部を示す。 1.知覚時間に及ぼす対象の運動速度、速度勾配、速度印象の影響:知覚された時間と刺激との関係を、多様な刺激を用いて調べ、高次レベルでの運動知覚や運動印象が時間知覚に影響することを明らかにした。 2.知覚時間に及ぼす対象の運動方向の影響:接近運動は知覚時間を過小評価させることを明らかにした。 3.表現された運動方向の速度印象:表現された運動方向(モーション・ラインライン)において、速度印象に差のないことを示した。 4.「今」「そこ」にある対象の判断に関わる時空間処理:対象の外見の判断が後で与えられた情報によって変容する現象を通し(eg.仮現運動時における大きさ判断)、「今」「そこ」にある対象の判断を支える時空間メカニズムの一端を明らかにし、意識と時間の関係に言及した。 5.拍の分割とリズムキープ感:拍分割を含むフレーズが一定のテンポを保ち演奏されているように感じられるタイミングは、演奏テンポによって効果に違いのあることや、この分割効果は分割部分のみの過大評価では説明できないことを通し、時間と感情との関係を議論した。 6.視聴覚情報の順序判断と注意:視聴覚刺激の前後判断の順応効果は、両方の様相に注意を向けないと生じないことを示し、感覚間における時間の統合について考察した。 7.知覚-運動対応関係と知覚時間の精度:能動的観察による視覚情報処理の時間精度を向上させる際の、手の運動と視覚的変化との一貫的な対応関係の重要性を指摘し、知覚と運動との関係を議論した。
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